女性向け官能小説「涙の精液」(無料)


「一樹?」
一瞬そう思った。
偶然訪れた旅行先で、亡き夫に瓜二つの男性を目撃したのだ。

加奈子は、半年ほど前に最愛の夫一樹を亡くした。43歳という若さでの死に、誰もが悲しんだ。二人の間に子供はいなかったので、38歳にして加奈子は一人ぼっちになってしまった。一樹が亡くなってしばらくは、自分が夫に話した暴言や冷たい態度ばかりが思い出され、後悔と自責の念で涙を流す毎日だった。

加奈子は性に疎かった。一樹は子供を欲しがっていたが、どうしてもセックスが好きになれず、子供もいなくていいと思っていた。夫婦二人の幸せがずっと続くと思っていたのだ。だが、最愛の夫はもういない。

田舎町を離れ、隣の県の中規模都市に出かけた加奈子は、ゆっくり読書ができそうなカフェに入った。悲しみを忘れるためには、ひたすら本を読むことくらいしかできなかったからだ。

店内はランチタイムを過ぎたせいか、かなり空いており、客の姿はその男性だけだった。一樹が私の元に帰ってきてくれたのだ。そう思ってはみたものの、そんなことがあるはずもなく、加奈子はひとまず、その男性の顔が良く見える席に腰かけた。

読書どころではなかった。あれほど性に興味がもてなかったのに、セックスがしたくてたまない。彼のそそり立つものを口いっぱいに含みたい。そしてそれを私の中に入れて欲しい。そんなことばかり頭の中で考えてしまう。
こんなのは本当の私じゃない。心の中で必死に訴えている。もちろん一樹に対してだ。

しかし、加奈子は自分の下着の中がどんどん湿っていくことを感じた。自然と手が自分の股の間に伸びていく。もうすでにスカートまで湿ってしまっている。加奈子は無我夢中で湿った性器を刺激した。体がどんどん熱くなってくるのを感じる。読書はまだ3行しか進んでいない。

ふと我に返り、男性の方を見ると、加奈子の方をちらっと見ているような気がした。その日、加奈子は、短いタイトスカートを穿いていたのだが、自分で自分を愛撫しているうちに、どんどん股を広げてしまっていた。オレンジ色のパンティーはきっと深いシミで染まっているんだろう。股の間に、男性の視線を感じた加奈子は、今度は意識的に下着が見えるように股を広げた。

一樹に見てほしい。
私は今でもこんなにあなたのことを思っているのよ。その証拠にこんなに濡れてしまっているもの。お願い、私の中にあなたのあの太いものを入れて。そして思いっきり奥までついて。

加奈子は自分が今どこにいるのか分からなくなっていた。ここは夢の世界なのか、そうも思った。でも男性はずっとそこに座っている。カフェのマスターも相変わらず仕込みをしているようだ。ここは現実なのだ。現実の世界、しかも公然の場で、私は私を慰めている。

急に涙がこぼれてきた。止まらない涙だ。半年間、毎日泣いたのに、涙は枯れることをしらない。ついにそれは嗚咽となり、加奈子は本で顔を隠しうずくまってしまった。

気がつくと、私の隣に男性が腰かけていた。
「泣きたいだけ泣いたらいいですよ。落ち着いたら、なんでもお話聞きますよ。僕でよかったら」
背中にそっと手を置いてくれ、加奈子は男性の温度を感じた。そして、ついに加奈子の感情が壊れたその瞬間、「抱いて」と男に懇願していたのだ。

男の汗が、加奈子のふくよかな胸にポタポタと落ちてくる。
「もっとついて、もっと奥まで」
そう叫ぶと、男の太くて硬いものが加奈子の奥まで何度も入ってくる。
男の腰の動きでは足りず、自らも腰を動かす。シーツがひどく濡れているのが不思議と心地よく思える。男は加奈子を抱きかかえたまま立ち上がる。加奈子の性器はどんどんぐちゃぐちゃになっていく。
「お願い、後ろからもついて」
また懇願していた。
男のものがピクピクと小刻みに動くようになるのを感じ、
「中に、そのまま中にだして」
男の呼吸が荒くなるのが分かる。
「イクよ」
「いっぱいだして」
加奈子は、自分の体に出された男の精液を愛おしく思った。そして、ペニスに残っている精液を残すことなく口に含んだ。

「すごく濡れてたよ」
「うん、こんなの初めて」
「俺も、自分の精子がこんなにたくさん出るなんて思っていなったよ」
実際、男の精液は加奈子の顔やお腹に飛び散るだけ飛び散った。
「本当は中に出して欲しかったのに」
「ごめん、でも気持ち良かったよ」

二人はその日、3度のセックスをした。男は毎回大量の精液を加奈子の体に放出した。
もう何も出ないというくらいに。一方の加奈子も、シーツの大部分を濡らした。それはまるで、雨が降った後の水たまりのようだった。

その日から、1か月が経つが、加奈子にあれほどの性欲が戻ってくることはなかった。その変わり、涙を流すこともなくなった。本物の一樹ではなかったけれど、初めて一樹と心から交わった気がしたのだ。だからもう涙は出ない。あのシーツに濡れていたのは、加奈子の中に残っていた涙だったのかもしれない。

あの日、男は別れ際、加奈子にこう言った。
「実は、しばらくセックスができない体だったんだ。だから今日、久しぶりに自分のものが立派になったのを見て驚いたよ、ありがとう」

今でも加奈子は、時々あのカフェに行く。でも男性の姿を見ることはもうなかった。


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