女性向け官能小説「ベラドンナの蜜は甘く」(レズビアン)

「ベラドンナの蜜は甘く」

自分が同性にしか欲情しないと分かったとき、私は自分が女である事を自覚した。人はそれを性の目覚めと呼ぶのかもしれない。
初恋だったのかすら分からないが、初めてそういった関心を向けた相手は同級生の姉だった。遊びに行った同級生の部屋にジュースとお菓子を持ってきた彼女は大学生であったと思う。しっとりと濡れたような黒髪を小さくまとめ、当時の私から見れば大人っぽいデザインのワンピースを着ていた。特別彼女とどうなったという事実はない。また何度も会ったわけではなく、特別彼女と親しく話したわけでもない。
ただあの滑らかな白桃のような頬、完璧に近い鎖骨のラインから続くワンピースの上からも分かる乳房の稜線を思い出すと私は今でも自分の性器から緩やかに流れ出す熱いぬるみを感じる。

「好きなのは本当。でも私とそういう関係になっても真理は幸せにはならないと思う」
「噓付き。嘘ばっかり。杏奈は自分が一番可愛いから、傷つきたくないんだよ。それで自分自身に嘘を付いてる。それで私の気持ちなんてどうでもいいんでしょう」
大学の空き教室に差し込んだ夕日に照らされた真理の大きい瞳の中に光が煌いている。それはほぼ私への怒りだと分かっているのに心臓は高鳴った。美しい。真理は美しい生き物だ。
「・・・本当に後悔しないと言える?真理が今しようとしていることは、この先どれだけ色々な事を諦めることになるのか分かってる?」
「見損なわないで。私は何も失わない。だって杏奈が手に入るなら」
しっかりと私を見据えた彼女の強い視線はしかしその奥底に悲痛な叫びを湛えて私に訴える。愛しているのだと。凶暴なほどの正しさで、悲しいほどのひたむきさで向けられたその感情の矢を私は全身に浴びる。
愛し愛されることの温もりと心地よさを真理は私に求めているのだろう。信じているのだろう。私が彼女にそれを与えられると思っているのだ。信じているのだ。
なんという愚かさ!そして幸福!
私は知っている。彼女と私が共にこれから先離れず生きていける可能性の低さと困難を知っている。頼れるものは互いの手だけで、それがどれほど離れやすいのか真理は多分本当には分かっていない。

トイレの個室で真理は引き破る勢いで肌蹴た私のブラウスに手を突っ込み、せっかちにブラジャーをたくし上げる。包むように揉めばいいものを痛いほどの力で掴んで顔を寄せる。
噛み付かれるかと思ったが彼女のルージュを引いた唇は私の乳首に吸い付き音を立てた。
体の中心を貫くような熱い震えに思わず上を仰ぐ。ここは人が来ないといえ大学の女子トイレだ。色気もムードもないのに、真理は私がいることだけでこんなにも欲情できるらしい。
スカートの中に手が入る。拒む理由はないから私は蓋の上に腰を下ろし、脚を思い切り開いた。
下着の横から真理の冷たい女らしい指が入ってくる。陰唇のぬかるみを確かめながら少しずつ奥へと進む。子宮の奥から溢れる愛液は確実に量を増し指で広げられた膣口は彼女の眼前に晒され、私は全裸になるよりもおそらく私自身を覗き込まれている錯覚を起こした。
真理は一度に三本の指を私の秘所に突き立てるとまるで急き立てられるように動かした。脚の痙攣を止められない。真理の柔らかい唇がクリトリスに吸い付くと、熱いうねりの衝動が湧き上がり腰が浮く。私は今日初めて真理に手を伸ばし、髪を掴みながら絶頂に達した。

「・・・傷ついてもいい。杏奈になら、何をされても、いい・・・」
「ありがとう、真理。大好きだよ、私も」

あなたとの間に生まれるすべての愛と痛みを祝福しよう。

「ノンケの僕を手篭めにした幼なじみ」女性向けBL官能小説

*女性向けBL(ボーイズラブ)官能小説

 幼なじみの切羽詰まったような表情を、僕は今日、初めて見た気がした。
 学校帰りのことである。最近できたばかりの彼女と一緒に下校してきた僕は、「また明日」と言って彼女と別れ、帰路についた。まだ手をつなぐくらいしかしたことのないストイックな僕たちを、友人たちは揶揄いまじりに囃し立ててくる。だけど僕としてはそれでよかった。ストイックがいけない、なんて法律はどこにもない。お互いそんな雰囲気になったときに少しずつ触れ合っていければ。――僕と彼女はそんな風に考えていた。
 あと少しで家に着く。そう思ってふと顔を上げたとき、玄関前に寄りかかりながら、腕を組んで立っている「彼」に気が付いた。
「よぉ」
 幼なじみは僕に気付くと、顔だけを上げて挨拶をした。「久しぶり」僕はにこりと微笑い、片手を上げる。
「どうしたの?」
「……いや」
 彼は、男の僕から見てもハッとするほどきれいな顔立ちをしている。切れ長の双眸は僕にはない男らしさを兼ね備えていて、つい、年下だということを忘れてしまう。昔はよく「お兄ちゃん」と言って僕の後をついてまわってきたものだけれど、いつの間にかぐんぐん成長して、身長もあっという間に追いぬかれてしまった。彼の家族はみんな背が高いから、あの高身長は血によるものなのだろう。分かっていても悔しいものがある。
 うちに来ないか、と彼が言ったのは、僕が彼の目の前まで来たちょうどそのときだった。彼の家はここから五分ほど歩いたところにある。断る理由はなく、久し振りに家を訪れた。
 そこで冒頭に戻る。部屋に入ったところで腕を引っ張られ、ベッドに投げ出されてしまったのだ。何かを言うより先に男が伸し掛かってきて、「さっきのやつは何だ」と凄むように言った。
「さっき?」
「テメエがさっき連れてたやつだ」
 彼女のことだ。
 帰る途中に僕らのことを見かけた彼は、ずっと離れたところから見ていたのだという。学校が違うのだから知らなかったとしても不思議ではない。「お前は俺のじゃなかったのか」と言う彼に、僕は呆れて溜め息をつく。
「いつの話だよ」
「幼稚園。お前、俺の嫁になってもいいって言ってたじゃねえか」
 「お兄ちゃん」と言いながら僕に懐いていた幼い頃の彼が、何度も繰り返し言っていた。「おれ、おまえの“ダンナさま”になるから。ぜったいほかのヤツにうわきしちゃダメだぞ」
 当時は、そんなことを言う彼をかわいく思ったものだった。僕は女の子じゃないから無理なんだよ、と教えていれば、こんな風に歪むことはなかったのかもしれない。こんな風に切羽詰まった顔で僕を押し倒して、苦しそうに想いを吐露する幼なじみの顔を見ることはなかったのかもしれない。今さら「無理なんだよ」と教えたところできっと伝わらないのだろう。なぜなら、彼自身そんなことはとっくに分かっているからだ。世の中の常識がそれを許さないということも。だけどかつての自分はそれを教えず、「うんうん」と笑顔で頷いてしまった。それを鵜呑みにした彼は、それだけを支えにしてきた。否定するということは、彼にとって裏切りにも等しい行為にちがいない。
 だからこそ、僕は彼の手が肌を這うことを許した。せめてもの償い。そして、大切なかわいい幼なじみを裏切れないという、良心の呵責のために。
 男が男に抱かれる世界があることを知っていても、自らそこに足を踏み入れることになろうとは誰も思わないだろう。僕だってそうだ。考えたことすらなかった。他人の重みを全身に感じながら、不意に思ったことを口にする。
「ッ、気持ち悪く、ないの」
 制服の釦を一つひとつ外されて、首筋に顔を埋めた彼の清涼なシャンプーの匂いにくらくらしそうになりながら、濡れた感触に微かに身震いをする。「気持ち悪かったら初めからこんなことしねえよ」と尤もな応えが返ってきた。指先が、襯衣の下に隠れていた胸の飾りをきゅっと摘む。
「んぁッ」
 驚いて出た声に慌てて口を塞ぐ。彼はくつくつと笑いながら、「好きか」と言った。

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「これ。女じゃなくてもいいんだな」
「ち、ちがッ」
「違わなくねえだろ」
 摘まれたところはまだ柔らかかった。だけど唾液をたっぷり含ませた舌が、母親の乳を求めるみたいにべたべたになるまで舐め回し始めると、段々と固く、尖っていくのを感じる。吸われ、噛まれ、転がされて……。「乳首とれちゃう」なんて言葉をAV以外で、しかも自分の口から言うことになるなんて、それこそ思いもよらなかった。
 だけどもっと信じられなかったのは、そんなことを繰り返されるうちに下肢が確かな熱を持ち始めたことだった。不条理な熱。膝頭を擦り合わせていることに気付いた彼が強引に足を開いて身体を割り入れる。そうして触れた身体の中心が悦楽に濡れていることに気付き、笑みを浮かべた。
 それは意地の悪い笑みというより、どこか安堵にも見えた。気のせいだろうか。口でいろいろ言いながら、実は彼も不安だったのかもしれない。一人よがりな行為ほど虚しいものはない。そうではない事実が、肩肘張った彼の行為を緩やかにほぐしていった。
「びっくりした?」
 散々乳首を弄られ、喘がされたが、そんなのは微塵も感じさせない意地の悪い声が出たと自分でも思う。相手を嘲笑うような、そんな声。
「君がこうしたんだよ」
「……ふん、違ェねえ」
 脱がされるスラックス。下着の中から顔を出したそれはいっちょ前に勃ち上がり、先端から透明な液体を滲ませていた。半端に皮をかぶった状態で、少し頼りない。「かわいい」という言葉にムッとしたが、幼なじみのそれを見たら文句なんて言えなかった。身長に比例する法則でもあるのか、と思うような逞しさ。男としての自尊心を傷付けられる。先端はすっかり飛び出して、筋張って、なんだかグロテスクにも思える。こんなもの、入るわけない。
「……なぁ」
「なに?」
 男の大きな手が二つの性器を軽く握るように持ち、ゆるゆると擦り合わせるように腰を動かし始めた。自分で扱くのとも違う、今まで感じたこともないような感覚が下肢を襲う。粘液が空気を巻き込んではじける粘着質な音が、耳をふさぎたくなるほど鮮烈に鼓膜を揺さぶる。その刺激に陶然としながら彼を見上げると、今度は意地悪ばかりを顔いっぱいに刻み込んだような笑みを浮かべて、
「非処女の彼氏に処女奪われる女って、どんな気分なんだろうな」
「――ッ」
 僕は目をいっぱいに見開いて幼なじみを凝視した。
 本来なら人に見せる場所ですらないところに、二人分の体液でどろどろになった手を躊躇いもなく持っていく彼。そこにある思惑に気が付いたところでもはやどうすることもできない。僕の性格を熟知している彼を前に、打てる手など初めから用意されていなかったのだ。
 やはり幼い頃から教えておくべきだった。いや、今日の行為を初めから全力で食い止めるべきだった。
 ああ、さよなら僕の青春。
 僕は真面目すぎる自分の性格を呪いながら、幼なじみに処女を捧げた。