官能小説「おどし」

駅で別れを惜しむカップル。よくある光景だ。
 男が改札に入っていき、それをいつまでも見送っている女。
 俺は、このカップルがさっきまでネットカフェでセックスしているのをのぞいていたのだ。そしてこの女のカラダに興味を持った。女は美しく、いい乳をしていた。いい尻をしていた。あの女の、湿ったワレメに自分のものを挿し入れてみたい……そういう欲望にかられた。

 男の姿が改札奥に見えなくなったところで、オレは彼女に声を掛けた。
「ねえねえ」
 女は驚いたような顔で答えた「はい?」
「あのさ、ああいう場所でああいうことされちゃうと、すごい困るんだよね。もうみんな迷惑してますから」
と、当事者感バリバリのエセ正義感男を装って、強い口調で言った。
「なんのことですか?」
「しらばっくれなくてもいいんですよ、ちゃーんともう証拠はあるんだから」
 俺はカバンからデジカメを取り出した。もちろん、興奮してのぞいてたので撮影なんかしていなかったが。
 それでも女は、カメラを見たとたんサーッと血の気が引いた。
「え……」
「あなた、さっきは犬みたいな格好でワンワン啼いてたでしょ。そういうの、すごい困るんですよ!」
 俺は店の人間でも何でもない。困ってはいなかった。もっと見ていたかった。
「す、すいません……」
 女はいとも簡単に俺に謝ってしまった。すると、慌てた様子で携帯電話を取り出した。彼氏に連絡しようとしたらしい。
 オレはそれを遮って、「このデータ、どうしますか? いま彼氏と相談なんかするよりも、こっちのデータの話の方が先でしょ!」
「あ、はい……。それ、消してください。お願いします」
「お願いって言われてもねぇ。こっちのお願いを聞いてもらえれば別ですが」
「お願いってなんですか」
「さっきのマンキツでしてたようなこと、僕ともしてくださいよ」
「え……困ります」
「困りますって、こっちも困るんですよ!」
「そんな」
 ……なんていう、今思い出すととても理屈にかなっていない強引なやりとりを10分ぐらいした後だろうか、女はやっと決意して、オレの後ろを付いてきた。

 向かった先は、ラブホ。
 女は観念したらしく、ラブホの受付をすんなり通り、一緒にエレベーターに乗ってきた。
 オレは女がノーパンだということを知っていた。ネットカフェからの帰り際、彼氏にノーパンでスカートをはけ、と命令されていたのを見ていたのだ。エレベーターの中で俺は、さっきさんざんちんぽで突かれた生マンコをまさぐった。
女は、まだ濡れていた。

 ホテルの部屋のドアを開けた途端、俺は女をベッドに突き倒した。
 女は振り返り、「乱暴にしないでください」と叫んだが、俺は自分のベルトを引き抜き、ズボンとボクサーブリーフをサッと下ろしてそのまま女のめくれたスカートの奥の生まんこにあてがった。俺のちんぽはエレベーターの中で既に怒張しており、爆発寸前だった。
 ギンギンの肉茎は、あてがったとたんに、ぬっぷん! と女にめり込んでいった。さっきの彼氏と同じように、バックから激しく突いた。
 女は、最初は抵抗した素振りを見せ、こんな愛のないセックスに絶対に感じたりはしない、とでも言いたげな表情を見せ、あえぎ声も出さなったが、オレの規則正しい抜き差し運動に、次第に吐息が漏れ、よがり出し、遂には大きくせつない喘ぎを出し始めた。
「さっきはマンキツで声出せなかったもんな? もっと声出しなよ」
 女は四つん這いのまま頷き、「いいいいっ!」と声を張りあげた。
「気持いいか? ん? さっきより気持ちいいだろ?」
 オレのちんぽは、さっきの彼氏よりも一回りほどはデカい。しかものぞき行為を楽しんだばかりだったのでガチンガチンに硬く青筋を立てていた。
「どうだ? ホラ!」
「気んもちぃ、いいっ!」と、声にならない声を出した。

 女をあおむけにさせ、正常位から繋いだ。1分間ほどピストン運動をしたのち、女から引き抜いて、女をまたいで顔の上にちんぽを持っていき、強引に口へ押し込む。女は従順にフェラチオをした。1分フェラをさせたところで引き抜き、また正常位で繋ぐ。また1分で引き抜き、フェラチをさせる。そのローテーションを数分にわたって味わう。
 何度目かの正常位で、女は絶頂に達した。
 それに合わせて俺も射精を調整し、最後は女の口にたっぷりとぶちまけることに成功した。

 終わって女と一緒に風呂に入った。
 女にカラダを洗わせ、バスタブの縁に脚を拡げて座るよう命令した。女は従順にその体勢になると、オレは屈んでクンニを始める。違う男と一日に二度の性交を終えた女のマンコは、未だジンジンと火照っていて、何か別の生き物のようにうごめいていた。
 豆を包んでいる皮を指で押し拡げ、舌先を固くしてクリを直接刺激する。女はこのぐらい強い刺激でなければ、もう満足できないカラダになっていた。俺は美しい女のマンコなら、いくらでも舐めていたいと思う。この女は、見てくれも性器も美しく、そのままじっくり30分ほどいたぶってやった。何度も女はイッた。イッてもイッても俺は舐め続けた。やがて女は、絶叫した。
「おまんこぉ、おまんこぉ、きんもぢいいぃぃ~~!」
 白目を剥いて痙攣しはじめた……。

 女の潮が引いたところで、一緒にバスタブに入った。俺は「あの彼氏で満足してんのかよ」と、話を振ってみる。すると彼女は、彼の不満をあげつらった。
 専門学校の同級生だけど、貧乏でラブホにもいけなくてマンキツでばっかりやってる。前戯もしてくれなくて、いきなり入れたがる。彼とのセックスでイケた試しがない。などなど……。
 そして、さっきのオレとのセックスがいままでで一番よかったと言った。

 それからというもの、俺は精子がパンパンに貯まると彼女をネットカフェに呼び出して、愛のないセックスを楽しんでいる。

官能小説「のぞき」

「あんっ、うふっ……」
 と、声にならない女の声が、短い間隔で聞こえてくる……。

 その日、俺は土曜の休日だというのに、昼間から1人で近所のネットカフェで仕事の続きをコナしていた。
 薄い合板のパーテーションで四方を囲まれた個室。その狭い空間で、パソコンに向かって顧客データをエクセルシートに必死こいて入力する。
 家だとダラダラしてはかどらないので、このネットカフェはたまに利用していた。
 と、ふとパソコンの横に置いた紙コップのコーヒーに目を留める。コーヒーに波紋が広がったのだ。
(ん?)
 今度はカタカタカタッと、デスクの上のペンが揺れた。続いて個室ブースの扉に掛けておいたプラスチックの安物のハンガーも、からん、と音を立てた。
 はじめは地震かなと思った。
(地震だったらイヤだな。ここは古い雑居ビルの4階だ。こんな狭いところで死ぬのはゴメンだ……)
 周囲の反応を窺うため、耳を澄ませてみた。
 すると、女の吐息のような声が、断続的に俺の耳に入ってきた。
「あぁん、うっ……ウッ……」
 間違いなく、女のあえぎ声だった。
(お、こりゃ、ヤッてるな)
 個室ブースの壁に貼ってある店内の見取り図を見ると、どうも俺の右隣のブースは、ペアシートのようだ。しかも椅子席ではなく、寝転がることが出来るフラットシート。
 俺は思い切って立ち上がり、パソコンデスクの上に膝を載せ、右隣のブースとの仕切りの壁越しに、チラッと隣りのブース内を覗いてみた。

 俺は息を呑んだ。

 若いカップルだった。
 二人とも、全裸だった。

 ペアシートは俺のいる個室ブースの二倍ほど、一畳強ぐらいの広さで、まず俺の目に入ってきたのは、男の方の後頭部だった。
 男は立膝になり、裸の女を後ろから突いていた。
汗まみれになりながら、規則的に腰を振っていた。その振動がこちらのブースにまで伝わってきたのだ。
 女は、黒髪のショートボブで、顔は分からないが十代後半から二十代前半だろう。両肘でカラダを支えて四つん這いになって、男に腰を打ち付けられるたびに、左手で口を覆い漏れてしまう声にならない声を必死に押さえていた。
 俺は感づかれないように息を殺して二人の獣のようなまぐわいを見届けた。
(すげえ……こんな間近で他人のセックスを見たのは初めてだ)
 逆に、こちらの胸の高鳴りが向こうのブースに伝わらないかとヒヤヒヤしたが、二人とも快楽の求め合いに夢中で、それどころではない。
 男のピストンが少し早くなった。女はそれに共鳴するように、一層感じまくり、
「アッ……ヒィ!」と短く声を出した。
 男は周囲にバレないかと少し動揺したが、それでもピストン運動は止めずに、足元に脱ぎ捨てられた女の白いパンティを丸めて女の口にあてがった。
 女は自分の下着を噛み締めて、必死に漏れてしまう声を塞いだ。
 俺は姿勢を少しズラしてみた。女の顔が見たかったのだ。
 汗と涙とヨダレでテカテカと濡れ光る女の頬に、前髪が貼り付いている。
 女は目を閉じて眉間にシワを寄せて突かれまくっていたが、鼻筋の通った美形であることが分かった。そして、四つん這いの姿勢ながらも薄ピンク色の乳首がはっきりと分かるほど大きな乳房をしていた。ぶるんぶるんと規則正しくその巨乳は揺れていた。
 そしてさらに体勢を変えて、男の後頭部の少し斜め側から覗くと、結合部分が見て取れた。
 男のモノはそれほど大きくないが、それが女の秘部に素早く沈んでは引き抜かれる様子がまるわかりだった。
 そしてなによりも驚いたのは、女の尻だった。むっちむちに丸くて白くて柔らかそうで、男の腰が打ち付けられると、小さくピシピシと音を立てて、うっすらと打ち付けられた部分が赤く染まっている。
(なんてきれいな尻だ……。俺もこんな尻を後ろから犯してみたいもんだ……)
 男は腰を振ることに一生懸命で、隣から覗かれていることに全く気づいていない。
 俺は息を止め、ジッと仕切りの上から覗いていた。

 それからたぶん、1分も経たないうちに男は射精した。
 快楽の汁を発射した後、男はそのまま女の身体に覆い被さるようにして、動かなくなった。汗まみれになってふたりは悦楽の余韻に浸っていた。

 5分ほど経ってだろうか(俺はまだ覗いていた)、男は起きあがると、ザーメンの溜まったコンドームを引き抜き、服を着てブースを出た。
 俺は慌てて頭を引っ込めた。
 音だけで男の様子を探った。男はフロア奥の便所へ行ったようだ。
 俺は再び、隣のブースをのぞく。
 女は裸のまま、体育座りの恰好をして、呆然としていた。
 女は思った通り、美しい顔立ちをしていた。瞳は大きく、睫毛が長い。ぽってりとした唇も、若いながらじゅうぶん女の色気を含んでいた。

 おそらくコンドームを処理して来たのだろう、男が便所から帰って来ると、二人は身支度をして受付へ向かった。
 慌てて俺も仕事道具をカバンに仕舞いこみ、二人の後ろを追って会計を済ませた。
 店は雑居ビルの4階で、出入り口はエレベーターのみだ。
 二人の乗ったエレベーターに、俺も間に合った。

 エレベーターを降りたカップルは、近くの駅の前で別れた。
 男が改札に入ると、女はいつまでも見送っていた。よくある光景だ。だが、この駅にいる大勢の人間たちは、このカップルがさっきまで公共の場所で、ちんぽとまんこを激しく擦りつけていたことなど、知る由もない。そんなことを考えていると、俺は無性に興奮してきた……。