漆黒が支配する住宅街。
その路上にある一本の外灯が一人佇む男をぼんやりと照らしていた。
男は中年で、黒いコートに身を包んでいる。
そんな男がいる場所に、一人の女性が近づいていた。
女性の名は佐織(さおり)。
佐織は、近くの私立大学に通う女子大生だ。
ネイビーのTシャツと白のスカートにスニーカーというカジュアルな出で立ちをしている。
佐織は、外灯の下にいる男の姿を捉えると、不気味に思ったのか、うつむき加減で足早に男の前を通ろうとした。
「そこのお嬢さん」
男の低い声が、佐織を引き留める。
佐織は自身の心臓が飛び上がるのを感じた。
「……なんでしょうか」
おずおずとは答える。
「私の家に遊びにこないかい」
「遠慮しておきます」
初対面の女を家に誘う男に、佐織は激しい恐怖を感じ、早くこの場を逃げださなくてはいけないと思った。
男に背を向け、足を踏み出す佐織。
しかし、その肩を男の手が掴んだ。
「……ッ‼ なんですか!?」
佐織は激しく抵抗したが、男の手は彼女の肩を離さない。
「お前は俺に逆らえない」
男の眼が妖しく光ったのを、佐織は見てしまった。
その途端、佐織は抵抗を止めた。
いや、”出来なくなった” 。
『あれ? どうして……!?』
抵抗出来なくなったことに佐織は戸惑うが、その様子に男は笑みを浮かべた。
「さあ。俺の家に遊びにきなさい。返事は?」
「はい」
自分の意思とは関係なしに出た言葉に佐織は凍りつく。
『いや。行かない、行きたくないっ!! 』
必死に否定しようとする佐織だったが、否定の言葉が口から出ない。
抵抗出来ない佐織は、なすすべなく、男の後を従順に追うしかなかった。
『身体が勝手に動く……。それもこの男の言いなりになって。まるでこの男に支配されているみたい……』
ほどなく歩いて、男と佐織がたどり着いた場所は、平屋の一軒家だった。
「ここが俺の家だ。どうだ、遊びにこれてうれしいか?」
「はい。うれしいです」
またも、思ってもない言葉が独りでに出た。
『本当は行きたくないのに!!』
家の中は至って平凡だった。玄関を抜けると、左手に一部屋あり、右手にもう一部屋あった。
玄関の奥には居間が見えた。
男は佐織を、左手にある部屋に案内した。
「ゆっくりしていきなさい」
「ありがとうございます」
「ところで、今日は暑いね。服でも脱いだらどう?」
男がそう言うと、佐織の身体はTシャツを脱ごうと手を動かす。
『イヤだ、脱ぎたくない……!』
佐織がいくらそう思おうとも、身体は男の命令を素直に実行する。
手にかけたTシャツを一気に脱ぎ捨て、佐織の上半身を包んでいる下着が露になる。
「ほう。ピンクのブラを着けているのか。かわいいじゃないか」
男が下卑た声で言う。
その声に、佐織は羞恥に染まった。
次に佐織の身体はスカートに手をかけた。
そして、それを下にずり下ろした。
佐織は下着しか身に付けていない姿を男の前に晒す。
「なかなかいい身体だな。もっと見たいから下着も脱いでくれ」
『イヤだイヤだ……』
心の中では、羞恥に染まり泣きじゃくっている佐織だったが、身体の方は平然とした顔で、淡々と下着を脱ぎ捨てた。
下着から解放された佐織の豊満な胸と、恥部を男はニンマリとした表情でねっとりと見ている。
『見ないで……! 見ないでよぉ!!』
佐織の心の叫びが外に出ることはない。
「見ているだけでは飽きたな。どれ、触ってじっくりお前の身体を品定めしてやるとしよう」
男は、乱暴な手つきで佐織の柔らかい身体を触る。
『ぅわ!? やめ、やめてっ』
容赦なく佐織のたわわな乳房を揉みしだき、その先端にある桜色の突起を刺激する。
「……ぁんっ」
佐織は思わず声が漏れてしまった。
「おうおう、感じてるのかい」
『感じて……なんか……。こんな無理矢理感じてなんか……ない!』
「下も濡れてきたようだな」
佐織の恥部からは、男の愛撫によって、愛液が滴り落ちていた。
『そんな……。イヤなのに……なんで?』
「お前も待ち遠しいだろうし、そろそろ挿れてやろう」
男は、穿いていたものを脱ぎ、そそりたつものを佐織に見せつけた。
『ヒッ……!?』
佐織は嫌悪感で吐きそうになるが、身体はそうではなかった。
むしろ、悦んでいるようだった。
「ほら、挿れてほしいだろ?」
「はい。挿れてほしいです」
『そんなわけあるか!! もうやめてぇ……』
男は、佐織の答えに満足し、どす黒いそれを、佐織の恥部にあてがい、一気に突き上げた。
「ぁぁあっ……!」
佐織の中に男のモノが侵入し、強い刺激を与える。
『望んでないのに……! イヤなのに……! なのになんでこの身体はこんなに悦んでいるの!?』
男がピストン運動を強めると同時に、佐織の身体もより熱情的にそれを受け入れる。
「ぃい、いいよぉ!! おじさん気持ちいいよぉ! 」
佐織の口から発せられる言葉に、男は応えようとさらに動きを早める。
『ぁあ、やめて……! そんなに強くされたら、変になっちゃうぅ』
男は、しばらくピストン運動を続けた後、言った。
「出すぞ!! 」
男が宣言すると同時に、一際大きい波が佐織を襲った。
「……ぁぁあん、イクッ! イッちゃうぅぅうぅ……っ!!」
『見知らぬ男にイかされるなんてぇ……』
ビクンビクンと、佐織の身体が大きく跳ね、佐織は果てた。
佐織は、葛藤の狭間で苦しみながら、見知らぬ男にイってしまったのだった……。
「かなりの上玉だったな」
佐織は果ててしまったが、これで男から解放されるのではないかと期待を抱いていた。
「お嬢さん。おつかれ」
『これで解放される!! 』
男の労いの言葉に、地獄からの解放を確信した佐織は心が踊った。
しかし、次に男の口から出た言葉は、佐織の踊った心を折るのに十分であった。
「明日もよろしくな」
地獄からの解放はまだまだ先だった……。