電車で読む官能小説「撮影の依頼に来た女」


チャイムの音がして、ドアをあけると、みしらぬ顔の女性がたっていました。わりと大柄で、胸も腰も豊かに張り出しているのが、コートの上からでも容易に見て取れました。
「なにか、御用ですか」
「フリーのカメラマンの、大下さんですわね」
「はい、そうですが」
仕事の依頼者かと、僕は少し言葉づかいを丁寧にしました。
案の定、相手は、
「撮影を依頼したいの」
「まあ、おあがりください」
僕は彼女を客間にとおしました。
女はソファに座るまえに、コートを脱ぐと、僕がさしだす手にそれを渡しました。僕はかすかに香水の香りがしみついたコートを、ハンガーにかけて壁に吊るしました。
「僕のことは、どこでお聞きなさったのですか」
「婦人服をあつかっている会社の知り合いから。あなたの写真、婦人雑誌にもよくのっているそうね」
「ええ、まあ」
「それで、腕をみこんでお願いしたいの」
彼女がそこで、効果をもたせるように口をつぐんだので、僕は彼女の次の一言を自然、まちうける形になりました。
「私のヌードを撮ってもらいたいの」
「ヌードを」
僕はこれまで多くの女をカメラにおさめてきましたが、それらの女性はみな、服を着ていました。美術関係の仕事でなんどか全裸の女性は撮った経験はありますが、それらはみな、芸術作品という名のもとに撮影したものばかりでした。
「だめかしら」
「いえ。ただ、理由を聞かせてもらえませんか」
すると彼女は、大きめの口を開いて笑いはじめました。
「なにも、それを売ってどうこうするつもりはないわ。私これでもカフェバーのオーナーなのよ。お金に不自由はしてないわ。ごめん、余計なこといって。私は来年、40になるの。それで30代最後の記念に、自分のヌードを撮っておきたいの」
「わかりました。それでは、いつおはじめにかりますか」
「できたら、いますぐに」
彼女はここにくるまえに、決心してきたようです。
「わかりました。では、スタジオにいきましょう」
僕もまた、ふいに舞い込んだ、異色の依頼に、気持ちがいつになく興奮するのをおぼえました。
スタジオに入ると彼女は、僕の促しにすぐ、ためらいもなく衣服を脱ぎはじめました。
脱いだ衣服は雑にたたんで、そばの机の上に置いた彼女は、僕の前に恥じらう様子もなくたちはだかりました。
「何枚ぐらい、撮ってもらえるのかしら」
「それはお望みどおりです」
「ポーズとかは、自分でとってもいいの」
「それもお望みどおりです」
彼女は大きくうなずいてから、白のシーツが敷かれた撮影台の上に立ちました。
僕はカメラを用意し、どうぞと手で彼女に合図を送りました。
さすがに最初のあいだは、動きもぎこちなく、体もみるからに固かった彼女ですが。僕が胸をつきだしてとか、腰をくねってとアドバイスするうち、だんだんと慣れてきた様子で、そのうち自分からポーズをとるようになっていきました。
シーツに座って、横たわるころになると、彼女はますます大胆になって、平気でカメラのまえに股をひろげたり、濃い陰毛を自分でかきわけて、芯の中のものを、指でさらけだしたりもしました。女は普段は自分の肉体を貝のように包み隠していますが、ときに大勢の男の見守るまえで、自分のすべてをさらけだしたい衝動にかられるところがあることを、僕は経験からしっていましたが、まさに今彼女がそんな状態にあるようです。

「ねえ」
ふいに彼女が、カメラをのぞきこんでいる僕にむかって言いました。
「はい」
「あなたも、裸になってもらえないかしら」
「え」
「私、どうも気分がいまいちのらないの。あなたの裸をみたら、もっと全開するとおもうんだけど」
さすがに僕も考えこみました。裸になること自体はどうということはないのですが、そうするとはたして、これまでどおり職業意識が維持できるかどうか、さすがに自信がゆらぎました。
しかし、彼女自身はいまいちと言っていますが、これまでの彼女の、そうとう思い切ったボースにいい加減のまれていた僕は、気がついたらズボンのベルトをはずしていました。
「お」
彼女が、裸になった僕の、屹立した腰のモノをみて、おもわず目をみはりました。
彼女の言葉どおりそれからは、その全身から女の本性が惜しげもなくにじみでてくるようなボースが繰り広げられました。
彼女は太腿をいっぱいにひろげ、その中心を自分の指でさらに大きく左右に押し広げました。そこから白濁した体液がとくとくあふれ出ている様子が、ファインダーを通してもありありとわかりました。彼女の発情は同時に、僕をも発情させずにはおきませんでした。
僕と彼女はそんな異常な興奮の中で、仕事をつづけました。
僕が最後のシャッターを押し終え、終了したことを彼女につげると、彼女は僕のところにかけよってきました。もう我慢できないと、その顔にはっきり書いてあるのがわかりました。
僕もまた、両腕をひろげて彼女をまちうけると、ちからまかせにその体をだきしめました。
もはやひとつの愛撫も必要のないぐらい、すっかり体かできあがっていた二人は、硬直した男の肉と、やわらかく濡れた女の肉をすぐさま結合させるなり、最初からはげしく下腹部をおしつけあいながら、たちまちこみあげてくる情欲に導かれて絶頂にまでのぼりつめていき、そして二人いっしょに深い深い底までなにもかも忘れて落下していきました。


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